ラグビーワールドカップ2015(11)

http://www.rugbyworldcup.com/video/112346

開幕前に、1勝3敗が順当などと
言ってしまったことを
深く反省しております(汗)
開催国のイングランドがいない
準々決勝の組み合わせを見て
あらためてW杯の厳しさを知る。

そして、JAPANがここに
手を掛けていたのだと思うと
ある種の満足感とともに
悔しさが込み上げてくる。

過去の大会では、
対戦相手は常に立ち向かう対象で
JAPANは常に挑戦者だった。
今回、すべての試合において
対等な関係であった対戦相手に
思いを馳せることが出来た。
いままでは、そんな余裕はなかったけど
W杯には、こんな楽しみもあったのだ。

南アフリカの常勝チームの矜持。
ヘスケスのトライ後、
スタジアムが歓喜と興奮に包まれる中、
勝敗にも勝ち点にも何の影響もない
五郎丸の最後のゴールキック
猛然とチャージに走る選手がいた。

スコットランドの狡猾。
前の試合のダメージはあるものの
南ア戦勝利の勢いに乗る日本の前掛かりを、
経験に裏打ちされた対応力でいなす。
(しかし、あのジャージはカッコいいな)
このゲームのスケジュールについては、
色々言われているけど、
一切の言い訳をせず、南アに勝利することで、
ティア1偏重の傾向に風穴を開けたという意味でも
JAPANの金星は意義があったと思う。

そして、サモアアメリカのプライド。
大会のシステム上、モチベーションが維持しにくい
終戦でそれぞれが見せた最高のパフォーマンス。
スコットランドサモアの死闘は、
南ア×日本戦を除けば、
プールマッチでのベストバウトだろう。
あの日のサモアに、はたしてJAPANは勝てたのかな。

また、少し逆説的だけど、今大会でのJAPANの活躍によって
過去の勝てなかった代表に対する思いが深まった気がする。
たとえば、オールブラックスに145点を取られたゲームでさえ、
フランカー梶原の2トライや、最後までタックルに行く姿勢に
心を揺さぶられ、勇気をもらっていたのだ。
世の中の論調は、いままではだめだったけど、
この4年間は一生懸命努力したから結果が出た、
というふうに乱暴にまとめられているようだけど、
昔の今も、JAPANは、ぼくらの代表で、
夢と希望を与えてくれる存在だったんだ。

・・・

アメリカ戦終了後、円陣はいつまでも解かれなかった。
「2019年につなげていくために、日本に帰ったら、
 自分たちは どう振るまっていかなければいけないか」
ということが、このとき廣瀬を中心に話されていた。

そう、この財産を2019年にどう受け継ぐか。

いまのこの盛り上がりは、一過性のブームだろう。
これでトップリーグや大学の試合が、どこも満員になるとは思えない。
ヤマハのチケットは、しばらく手に入りにくそうだけど)
それでも、ラグビー関係者(あえてファジーな言い方をします)は、
日本らしいやり方で、2019年の大会を成功させる義務がある。

思い出すシーンがある。
南ア戦の最後の10分。
あくまで勝利に拘るJAPANがスクラムを選択したとき、
スタンドで桜のジャージを着た外国人女性が
「GO!JAPAN!」と絶叫する場面。
彼女に限らずブライトンのスタジアムには、
日の丸や桜のジャージでJAPANを応援する
多くの地元ファンがいた。
4年後、ナミビアジョージアの試合でも
あんな雰囲気が醸し出せたらいい、と心から思う。

・・・

目標であった準々決勝進出の可能性が消えた夜、
キャプテン、リーチマイケルは仲間に語りかけた。

「明日は自分たちのプライドを見せよう。
 日本がどれだけすごいかを世界に見せよう。
 日本のファンにラグビーというスポーツの素晴らしさを見せよう」

多くの選手の流した涙の本当の意味は、
日本で見ていただけのぼくらにはわからないけど
3勝は十分すぎる結果だし、
世界を驚かすことも、これ以上ない形で実現した。

選手31名をはじめとする、
スタッフおよび関係者には、
最大限の敬意を。

(マスコミのみなさん、取り上げてくれるのは有り難いのですが
 シーズン中ですから、くれぐれも練習の邪魔はしないよう)