やり返さない勇気

この映画は男同士で行ってきたら、という妻の計らいで
息子と二人で「42 〜世界を変えた男〜」を見に行く。

史上初の黒人メジャーリーガー、
ジャッキー・ロビンソンの実話。

ただ信じて待っているだけでは何も変わらない。
信じ、行動することで、周りに影響を与えていく。
いつだって何かを変えるのは、誰かの勇気だ。

差別、非難に屈することなく、
自らを信じ、渾身のプレーを見せることで、
そこが彼のいるべき場所だということを証明し、
その行動で、人種差別の壁をも破って行く。

彼が本当に孤立無援だったら、どこかで潰れていただろう。
愛する家族、サポートしてくれる人たち、彼に憧れる少年たち。
そして最初は彼を疎んじていたが、その態度に心打たれ、
野球を愛するチームメートとして彼を尊敬する選手たち。
孤独な戦いは、実は応援してくれる人がいるからこそ成立している。

彼にわざとスパイクでケガをさせた相手チームに 
次のバッターにぶつけろ、と憤った仲間に彼は言う。
「討ち取るんだ。報復はよせ。大事な試合だ。」
スポーツマンは、
いちばん大切なもののために全力でプレーすべきだ。
そしてプロのスポーツマンは、
その「プレー」で見ている人たちに、夢と希望を与えるべきだ。
勝利を決めるホームランを打った彼が、淡々とベースを一周し、
チームメートの待つ「ホーム」に帰るラストシーンは、
派手さはないが、心の奥深くを揺さぶられる。
最近のスポーツマンは拳を振り上げたり、叫んだりしすぎだ。

毎年4/15にメジャーリーグすべてのチームの全員が、
42番のユニフォームを着るのを
お祭り好きなヤツらだな、と思っていたが、
ベースボールには
本当に尊敬すべき人への敬意を示すことの出来る懐の深さがある。

出来ない理由を探すのはもうやめよう、
と思わせてくれる2時間8分。

しかし、アメリカ人に野球の映画を創らせると
何でこんなに美しい映像になるのかな。