大学選手権決勝

帝京 15−12 天理

揺るがない信じられるものを持ったファイナリスト同志の素晴らしいゲーム。
三段論法の成り立たないこのスポーツで、どのチームが本当に強いのかはデータからはなかなか見えてこないのだけれど、今日のゲームを観て、この2チームが大学生のなかで正真正銘の2強であることを確信する。

選手権に入ってからも、なかなか実力の差をスコアで証明しきれない帝京。
FW優位を生かして、準決勝のような戦いで上手く時間を使いながらの堅実なスコアメイクかと思いきや、風下からパントを上げ、深いラインから積極的にボールを散らす。
帝京にとってこの判断がどうだったかはわからないが、観ている立場としてはこの上ない面白い展開。
点数の推移では危なかったけど、相手の策に対応できる重いモールと安定したセットと懐の深いDFは80分間通して崩れる気配なし。
負けないラグビーは、最後の試合でも徹底された。
各チームがフルタイムに近いコーチングを行う昨今、ひとつのチームが3年続けてトーナメントを勝ち抜くことは簡単ではないはず。
通用するものとしないものを精査して、今年こそ日本選手権で真剣勝負を。


今年の選手権を盛り上げた最大の立役者は、久しぶりに国立に帰って来た黒いジャージであることは、間違いないだろう。
これだけ組織的なDFが確立されたなかで、フロントスリーがフラットパスで抜きに行くラグビーは、他のチームが簡単に真似できるものではない。
国立が沸いた場面は、ボールポゼッションとは反比例していて、天理のアタックの時が圧倒的に多かった。
15人の役割がファジーになりつつあるこの時代に、秀でた職人で構成されたメンバーは、僕らの世代にはたまらない。
同点の残り2分。自陣で反則をしない文化は、圧倒的に勝ちすぎてしまったレギュラーシーズンでは身につけられなかったか(泣)。
ただ、小松監督が時間をかけて作ってきたこのチームは、主力が抜けたから力が落ちるということはないだろう。
3年生以下の部員たちは、あの森田のキックの軌道が目に焼き付いているだろうから、来年もこの場所で、今日よりも素晴らしいラグビーを魅せてくれるはず。

各校の目標となる壁は、高ければ高いほどよい。

日本ラグビーの未来は明るい。

昨日、最後の行に書いたささやかな願いが叶って幸せな気分の3連休中日。