変えることが難しいことを変える

ベスト新書 岩渕健輔 著
「変えることが難しいことを変える」を読む。

ラグビー日本代表のゼネラルマネージャーが
W杯イングランド大会前に執筆した本。
結果を伴ったいまとなっては、
完全なるサクセスストーリー。
グラウンド上で頑張った選手、コーチと同様に
評価を受けるべきGMとしての働きぶり。
ビジネスマンとしても成功する人、
などという在り来たりな評価では括れない。

マッチメイクひとつとっても、
政治力とグラウンドの外側でのフットワークが
きわめて大切なのだと改めて痛感する。
スポーツの世界は
爽やかな風が吹いているだけの場所ではないのだ。

イングランド大会の1次リーグ敗退が決まったとき、
南アに勝って決勝トーナメントに進めないのと、
南アには負けたけど決勝トーナメントに進めるのは
どちらが良かったのだろうと考えた。
準々決勝を戦うという経験値を得られなかったのは、
もったいなかったという気持ちが当時は強かったが、
この本を読むと、そこを失ったとしても、
南アに勝っておいてよかったな、と。
(政治的な話なので詳しく書きませんが)

サクセスストーリーとさきほど書いたけど、
それには実はまだ続きがあって、
今月末開幕するスーパーラグビー
サンウルブスが、観ている人に感動を与える
ゲームをすることで、第1章が完結する。

そして、このストーリーにはゴールはない。
終章で筆者が言うように、
日本ラグビーが本当にターゲットに据えないといけないのは、
2019年や2020年である以上に、2021年であり、
W杯とオリンピックが立て続けに日本で開催されるという
千載一遇のチャンスを是が非でもものにし、
そこで築いたレガシー(資産)を
未来の世代に確かに継承していくことなのだ。

しかし、
日本代表のHCに、あのジェイミー・ジョセフが就任しても、
サンウルブスのHCに、あのマーク・ハメットが就任しても、
世の中の論調は「本当に彼で大丈夫なのか?」

日本ラグビーも変わりましたな。