人は走るために生まれた

NHK-BS「人は走るために生まれた 〜メキシコ山岳民族 驚異の持久力〜」を見る。

メキシコの山岳民族「ララムリ」
雨風がしのげるだけの小屋に暮らし、
1日2度の食事は、
とうもろこしで作ったパンといんげん豆という質素さ。
毎朝、山を越えて水をくみに出かけ、
広大な畑を歩いては耕し、
遠く離れた市場へ野菜をかついで徒歩で行く。


地元で開催される年に1度のウルトラマラソンは、
途中岩だらけの山を越え、
幅1mほどの断崖が9kmも続く箇所もある
全長85kmのタフなコース。
当日の気温は40℃以上。
最新鋭のシューズと濃度や栄養分が計算された補給飲料で
レースに臨む海外から参加した強豪ランナーに対し、
どう見ても通気性の悪そうな帽子(おそらく1つしか持っていないのだろう)
に古タイヤを切って作ったサンダルという出で立ちで、
とうもろこしの粉をといた水を飲みながら、息を乱すことなく走る村人。
山道でもスピードを落とすことない村人は、
このレースで1〜6位を独占してしまう。


昨今、ランニング業界では、踵から着地するのではなく、
足裏全体で着地をするのがトレンドらしい。
ハイテクとは程遠い、サンダルで走る彼らのフォームは、
いま流行りの走法の理想形のようだ。
そして、それは数万年前、裸足で走って武器を使わず狩りを
していた人間の走り方で、体への衝撃を最小限に抑えた、
理にかなったものだという。

シューズの進歩に伴い、
人間の本来持っている能力が消えていくという皮肉。
これ以外にも、便利さと引き換えに
人は大切なものをたくさん失っている気がする。


番組の最後、
レースに出場した村人が番組スタッフを自分のいちばん
好きな場所に連れていくシーンがある。
そこは生まれた村が見渡せる小高い丘。
そこで彼はこんなことを言う。(正確にはおぼえてないけど)

 豆やとうもろこしを作るこの土地は大切だ。
 ここでの暮らしは不便かもしれない。
 でも人がたくさんいて工場のある都会より、
 ここでの生活が好きだ。
 ここでは、すべてが正常だ。


実際にここで暮したら、
1週間で飽きてしまうかもしれないけど、
それでも、なんだか憧れてしまうな・・・