世界トライアスロンシリーズ横浜大会2016(2)

今年もたくさんの感動と気付きがあった濃密な2日間でした。
いちばん強く感じたのは、個人競技に分類されるこのスポーツが、
チームスポーツの要素を多く含んでいるということ。

土曜日の早朝に行われたパラのエリートレースで、
マーシャル仲間の数名が、Swim Exit Handlerとして活躍。
Swim Exit Handlerとは、下肢に障害がある選手を
自転車のある場所まで担いで運ぶという役割。
次にどんな障害のアスリートが泳ぎ着くか見極め指示を出す人、
数人で組になって運ぶ人。
事前に2時間ずつ2回のトレーニングを実施し、抜群のチームワークで、
世界から集まったパラアスリートの皆さんが1秒でもロスすることなく、
スムーズに競技を継続できるようサポート出来たとのこと。
チームSwim Exit Handler、日本の誇りだわ〜。
この大会は、各国のパラリンピック代表の選考レースにもなっており、
相当のプレッシャーがあったみたいだけど、いい経験だったのだろうな。
ちなみに私は、バイク・ランコースで、
もう観客に近い状態でうるうるしていただけでした。

続くエリートのレースでは、TV映りを意識しつつ、
トップアスリートのパフォーマンスに酔いしれる。
例によってスイムで出遅れた上田藍ちゃんが、
オーストラリアのジェントルと組んで第2集団を引っ張り、
バイク2周目で第1グループに追いつく。
真横で見ていると、凄まじい気合い。
これもチームだな、とこの時点では思ったが、
ここで共闘したジェントルとランの最後に
熾烈なデッドヒートをすることになるとは。
ランの最終周、上田藍ちゃんに強烈な応援ビームを送る自分の姿が、
NHKのカメラにしっかり撮られていて苦笑い。
マーシャルは公平な立場じゃないといけないのにね。

低血糖で倒れたらシャレにならないので、
女子と男子のレースの間の短い時間で、
とりあえず何かを胃の中にかきこむんだけど、
レース中は分担場所に張り付いており、
みんな結果がわからないので、テントの中では、
「藍ちゃん、何位だった?」という質問が何度も飛ぶ。
業務中は、公平な立場ですが、持ち場を一歩離れたら、
気持ちは、やっぱりチームJAPANですから。

地味な判断ミスはあったものの、
運営に支障が出るような事態はなく、
初日は無事終了。
翌日も3時半起きなので、
反省もそこそこに早めの就寝。

・・・

2日目はエイジグループのレース。
TV中継はないけど、選手の熱い思いは、
エリートのそれに劣るものではない。

朝4時すぎに、審判ウエアを着て、横浜の街をサイクリングで会場に向かう。
まさかのパンクで遅刻するのがこわいのでママチャリです。
途中、みなとみらいを走る女性に声をかけられる。
「レンタサイクルが借りられなくて〜」
関西からきたマーシャルの方なんだろうか。
集合時間には、歩いても十分間に合うのに。
二人乗りできない構造ですみません。
でも、朝焼けのなか、みなとみらいを走る姿ってちょっとステキ。

2日目の業務は、最近専門になりつつある乗降車ライン。
今回は、サブチーフであります。
パラのレースが始まると、降車ラインに朝の女性が杖を持ってやってくる。
実は、関西から出場しているパラの選手のサポートをされている方。
「いや〜、今朝はレンタサイクルが営業時間外やいうてまいったわ。
 でも、彼女のこと、待たせんのも悪いしな〜。
 で、いつ来るかわからん地下鉄待つより走ってしまえと思うてね。」
いまどき、地下鉄の時間なんてちょっと調べればわかりそうなものだが、
そんなことなら走ってしまえ、というメンタリティが、このスポーツに携わる人らしい。
でも、めっっちゃええ人。(なんで関西弁?)
スムーズで献身的なサポートは、
経験と信頼関係がなければ出来ない素晴らしいものでした。

強烈な5月の紫外線に悩まされながらも、
昨年の経験を生かしてチーフをサポートし、
2日目も事故なく任務を完了。

今年も多くの人の完走をサポートできたかな。


(チーム「トランジッションエリア」の面々)

分担業務を終えて、会場内を移動していると、
たくさんの知り合いたちの笑顔と
出場選手たちからのたくさんの「ありがとう」が。
うん、ええ週末や(笑)

・・・

寝不足と心地よい疲労とある種の満足感につつまれて、
帰路、審判ウエアのまま、国道15号をママチャリで走っていると、
自転車で追い抜いてゆく出場選手と思われる何人もの人たちから
「お疲れ様です」と声をかけられる。
数時間前に40kmを全力で漕いだというのに、どこまで帰るのだろう。
国道15号に別れを告げる寸前、ひとりの女性アスリートが
「マーシャルさ〜ん、どーもありがとうございました〜」と
叫んで、走り去る。
ああ、寝不足も疲れも吹き飛んだよ。
選手、スタッフ、観客が一体となって作る大会。
チーム「横浜トライアスロン」の一員として、
今年もいい時間が過ごせたな〜。