第21回サンライズイワタトライアスロン

週末は第21回サンライズイワタトライアスロンin竜洋へ。

一緒に申し込んだ会社の後輩は日頃の行いが悪く抽選漏れ。
ということで、レース前日のカーボローディングは、
国道150号線沿いの扇屋さんで孤独のグルメ・・・。
スタミナつけるには、やっぱコレでしょ。

今回は初挑戦のミドルディスタンス。
未知の距離なので想像もつかない事態が
起きることが予想される。
そんななか、先日、雑誌「TRIATHLON LUMINA」を読んでいて、
素敵な言葉に出逢った。
「辛さをマネジメントする」
曰く、速い人は辛くないわけではなく、
辛さを耐えているだけでもなく、
辛さをマネジメント出来ているのだと。

で、swim2km、bike70km、run20kmに
臨むにあたってのテーマは、
辛さをマネジメントする、に決定。

・・・

先週の台風の影響で、ランコースになる海沿いの道は、
松の木が倒れ、舗装道の上に砂が数十cm積もってしまい、
県協会や地元のボランティアの方たちが、
総出で撤去して下さったとのこと。
本当にありがたいことです。
その思いに応えるためにも、
選手としていいレースにしなければいけません。

【スイム 2km】

スイム会場も台風の影響でたいへんなことに。
ガンジス川かカフェオレか。
いずれにしても、手賀沼以下の透明度です。

昨日の説明会で県協会の会長が、
「ボラがはねてるのは水がキレイな証拠」
って、言ってたな。
「あまりたくさん飲まないでね。お腹こわしちゃうから」
とも、言ってたけど(笑)。

スイムは1kmのコースを2周。
2kmという距離自体は練習で普通に泳いでいる長さなので、
とくに心配はしていない。
バトルも想定の範囲内。先週の練習が役立っている。
呼吸のさい、いやみなほど晴れ渡った空を見上げて、
「長い1日が始まったな」なんて考える余裕も。
いつになく冷静。いいカンジです。

2周目の最後のコーナーを周り、何事もなく終わるな、
と思った矢先、平泳ぎのキックをゴーグルにくらう。
カフェオレのなかで、マンガのように星が舞う。
ちゃんとヘッドアップ習得してから来いよ、と言いたいところだが、
そういうレベルの人より後ろにいるのが悪いと思いガマン。
予期せず襲ってくる突然の痛み。
あぁ、ラグビーやっててよかった。

350名くらいがスタートしたこのレース。
42分。202位でスイムアップ。
まだ、自転車たくさんあるじゃん。


【バイク 70km】

今回、いちばん不安があるとすればバイク。
ノンストップで乗ったことがあるのは、
オリンピックディスタンスのレースでの40kmが最高。

メイン会場から1kmほど離れたスズキのテストコースを10周する。
はじめての距離でペース配分もわからないので、
30km/hあたりを維持しながら周りの様子伺い。
でも、なかなか同じレベルの人っていないもんだね。

幸いなのは、いつもは東西の方向に吹く風が、
南側から吹いているコト。
東西に長いこのコースは例年は風向きによって、
行きは40km/h、帰りは25km/hみたいなことになる。
南から吹く海風は、昔からの友達だしね。

3〜4周目くらいで、腰が痛み始める。
こんなんで最後までもつのかよ、と一瞬思うが、
辛さをマネジメント、と念仏のように唱える。

微妙な上り下りもマメにギアを変え、丁寧に。
抜いた人、抜かれた人を感覚的に整理すると
順位は落としている気がしないでもないが、
わりと集中できている。

7〜8周目くらいになると、後からスタートした
ショートタイプの人たちが5周の周回を終えてコースを出てゆく。
一瞬、いいなぁ、と思うが、3,000円余計に払って
10周することを選んだのは自分(笑)

今回初めて補給食を携行したので、
エネルギー切れしそうな感じはないけど、
練習と思って食べておく。
やっぱり、まずっ。

終盤、ペースが落ちたけど、なんとか10周。
果敢に攻めたとはいえないけど、ここはタイムも順位も度外視。
2種目目を無事終えられただけで御の字。
レーススタートから3時間を越えているけど、
オリンピックディスタンスのバイクが終わったくらいの感覚。
なかなか集中できている。

あれ、バイクたくさんある。
やっぱり、けっこう抜かれてるな(汗)


【ラン 20km】

バイク終了時で制限時間まで2時間45分。
完走は見えた。
大きなアクシデントがない限り大丈夫でしょう。

公園エリアから海沿いの道5kmを2往復するコース。
日陰がほとんどないのが、ちょっと辛いけど、
そこはなんとかマネジメントしよう(笑)

公園内で行われていたグラウンドゴルフの大会に
参加しているたくさんのお年寄りが応援してくれる。
遠州訛りが温かい。ありがとうございます。

わざわざ海沿いの道まで来て応援してくれる人もいる。
たまに、「頑張っているのに頑張れと言われると苦しい」
って言うスポーツ選手がいるけど、
頑張っている人に「頑張れ」はアリだと思う。
自分の力だけで出来ることなんて
実はそう多くないいんだから。

前半10kmは1時間ちょっとでクリア。
ペースは遅いけど、目標はまず完走。

トップでゴールした招待選手の河原くんが満面の笑みで
「頑張って下さい」と言って、霧吹きで水をかけてくれる。
そんな霧みたいな水、なんの効果もないんだけど、
彼の気持ちがすごく嬉しい。

ラスト1周の往路。
さすがにカラダのあちこちにガタがくる。
もともと痛い足首や踵以外に、
ヒザや腿の付け根も悲鳴を上げ始める。
ここは辛さをマネジメント(笑)
下半身が痛いのは当然のこと。
じゃぁ、気持ちは?大丈夫。
なら、行ける。

折り返し点のエイドで時計を確認する。
制限時間までは1時間で残り5km。
完走がより現実的になる。

だいぶコース上ですれ違う選手の数も少なくなってきた。
なかには、ふらふらしている人も。
あのペースでは、制限時間のゴールは厳しいな、と思う。
おそらく、それは本人がいちばんわかっているはず。
でも、確実に一歩一歩前に行く人たち。
コースの上では自分のほうが前にいるけど、
あの人たちのほうが強いな、と感じる。

17〜18km地点。公園の南側まで帰って来る。
あと少し。
海側からスイム会場を眺める。
あそこを泳いだのが、遠い昔の出来事のようだ。
実際には波の音が聞こえているのだけれど、
静かだな、と思う。

と、その時、「OOさん、ファイト!」と
見知らぬ女性から名前を呼ばれる。

レースも終盤になり、多くの応援の人がゴール地点に向かうなか、
いちばんキツくて、いちばん心の折れそうなエリアでの心強い応援。
スタートリストを見ながら、ゼッケンを確認して名前を呼んでくれたんだね。

不意をつかれ、涙腺が緩む。
サングラスの役目をひとつ発見してしまう。
ありがとうございます、
って上手く言えただろうか。

海浜公園まで帰ってくる。
長いようで短かった1日。
ゴール手前、ランコースで何度もハイタッチした
ティップネスのTさんが待っていてくれて
最後のハイタッチ。

MCの高橋希代子さんが、申し込み時に書いたメッセージを読んでくれる。
「ゼッケン418番、OOさん、"10年ぶりに竜洋に帰ってきました"
 お帰りなさ〜い。完走おめでとう!」

サングラスを外し、笑顔でゴールテープを掲げる。

ただいま。そして、ありがとう。

至福の5時間37分。

255位だけど、勝った気分。



・・・


この大会は、ショートタイプに何度か出たことがあるんだけど、
10年たっても手作りの温かい雰囲気が全く変わっていなかった。

ミドルタイプの制限時間の6時間が近づくと、
選手も応援の人もみんなゴール付近に集まってくる。
そして、最後のコーナーに選手が現れるたびに、
大声援と大きな拍手がおこる。
この瞬間、たぶん日本中でいちばん幸せな空間。


・・・


初めてのミドルの感想は、
ひとこと「楽しかった」

そして、距離が長いからだろうか、
ボランティアや応援の方々に
本当に支えられていると感じた。

いま酷い筋肉痛になっている部分と
心の弱い部分をもう一度鍛え直して、
また、ここに戻ってこよう。


応援して下さったみなさん、ありがとうございました。
このストーリーは、まだしばらく続くと思います(笑)