能登和倉万葉の里マラソン2018

半年前みたいに、念仏のようにサブ3.5と唱えるのは控えていたが、実は密かに狙っていた今回のレース。前半は坂だらけで後半は例年強い風が吹くコース設定はベスト更新には不向き、という評判は、とはいえ距離は42.195kmなのだからということで聞かなかったことにする。

今回の作戦は、アップダウンの多い25kmまでを我慢して我慢して我慢して、ほぼフラットな終盤を粘って粘って粘って粘る。上りと下りのせいで1キロあたりのタイムはあてにならないので、5キロごとのタイムをマネジメントしつつ、前半ハーフでの借金を3〜4分に抑え、後半のネガティブスプリット(前半よりペースを上げる)に賭ける。

中間点通過は1時間48分。ここまではプランどおり。足は残っている(ような気がした)。「ツインブリッジのと」の下りでペースアップし、25kmすぎの最後の長い坂をねじ伏せ、愛しい海風と戯れる終盤へ。
快調に飛ばすはずのラスト15kmは、予想以上の強風と叩きつける雹に消耗を強いられる。どのくらいのペースで走れているのか感覚的につかめず、心は折れていないけど、かなり不機嫌になる。一向に上がらないペース。凍える寒さにいまにも売り切れそうな足。時間が経つにつれ、ずるずると下方修正されるゴール予想タイム。
ふと気付くと抜いてゆく人数がやたらと増え、失速を認識する。そして、よくトライアスロンのレース後に陥る脱水による手足の痺れを感じるようになり、いつのまにかそれが全身に及ぶ。何が起きたのかはいまもわからないのだが、タイムロスを気にして給水をいくつかとばしたことが原因なのかな。別に昭和の運動部員だからって、水を飲むとバテると思っていたわけではないよ。
スピードをまったく維持できなくなった38kmあたり。4時間のペースランナーとサブ4を目指して必死にくらいついていく集団に飲み込まれ、あっという間に置き去りにされる。ああ、4時間にも間に合わないのか。それにしても、サブ4を目指す人たち、いい表情しているな。意識はかなりクリアなのに、カラダがいうことをきかない。ああ、もどかし過ぎる・・・
長〜い海辺の散歩を終え、ようやくゴールへ。10キロの部に出ていたチームのメンバーの応援に励まされ(笑顔で応えたかったけど、顔も痺れていてそれも叶わず)、千鳥足一歩手前の体でゴール。よく箱根駅伝とかでフラフラになっている選手を見て、ちゃんと調整しなきゃダメだよ、なんて思っていたけど、彼らの気持ちが少しだけ理解できた冬の日の午後。

ゴール後は、這うようにして控室になっている体育館にたどり着き、しばらく冷た〜い床と仲良くしているうちになんとか普通に歩けるまでに回復。「OS-1」と「ポカリスエット」を開発した人は偉大だ。
その後、イベント会場でつみれ汁と金沢カレーと唐揚げを食べ、さらに駐車場に向かう途中、とりあえず見るだけと入ったケーキ屋さんで買った地元スイーツを食べてすっかり元気に。つい1時間前まで目も虚ろだったのにすごい食欲。もしかして、失速の原因は空腹だったのか?

帰路、和倉の温泉に浸かりメンタルも回復。まあ、冷静に振り返ってみると、ずいぶんとツライ目にもあったが、学びと気づきの多い楽しい大会だった。
来年も出たいかっていうと、それはまた別の話だが(笑)

自分にとってベストのレースは、きっと次のレース。
明日もいいトレーニングが出来ますように。