日本×南アフリカ

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スクラム、モール、ラインアウト、ブレイクダウンの攻防。そのすべてで圧倒された。二つの放送局の再放送を何度も見てしまうのだが、毎回、後半は「うわぁ、これじゃ何にも出来ないよ」という同じ感想。グループリーグの全試合を、死力を尽くして勝ち上がってきたチームと、決勝トーナメントに照準を合わせてきたチームの差。4年間気づかないふりをしていたけど、ブライトンの奇跡は、勝った側の努力の成果とは違った意味で必然だった。後がないノックアウトステージで本気のティア1を倒すのは、並大抵のことではない。でも、その感覚は、満身創痍の状態でこのステージに立ったからこそ気づくもの。

試合後のJAPANの選手たちの表情は、誇りと悔しさのバランスをうまく消化できないように見えた。快進撃が終わったいま、彼らが背負ってきたものの大きさに思いをはせる。このスポーツをやめようかと思うほど厳しい合宿を経て、世界の強豪と互角にわたり合い、大きな壁に跳ね返されると、人はあんな表情になるのだろう。

ずっとこのスポーツに関わってきたので、世の中の盛り上がり具合を公平に判断できないのだが、スタジアム以外の場所でも、多くの人が祈り、涙する映像を見ていると、選手・スタッフの努力は実ったのだと感じる。「いやぁ、ラグビーがこんなに面白いなんて、いままで知りませんでした」というようなセリフが、あちこちで聞かれる。そんな誉め言葉はいいから、W杯が終わった後もちゃんと注目してくれ。ルールがよくわからなくて、っていう言い訳はもうナシだからな(笑)

この1か月の伝道師としての仕事ぶりは、ラグビーは何人でやるのかも、トライで何点入るかもわからなかった人たちに、日本代表にいる外国生まれの選手たちの気持ちや、ジャッカルやオフロードパスの難しさを理解してもらえたのでいちおう合格点とする。まあ、勝敗予想はずいぶんと外したが(笑)

祭りはまだまだ続く。というより、ここからが本番。

 

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日本×スコットランド

劣勢に立たされた後半、胃が締め付けられるような展開が続く。W杯のゲームにおいてこのような状況に陥ることに対する免疫がない。4本目のトライを取った時点で、このチームの試合が来週も見られることはほぼ決まっているのだから、もっと安心しても良さそうなものだが、決勝トーナメントにいけるかどうかとか、グループリーグを何位で通過するかとか、そんなことより大切なことがあった。このゲームに勝つこと。

次の試合に進むという観点からは、試合前から相手チームのほうが重たいものを背負っていたことは否めない。そして、ホームのアドバンテージは計り知れない大きさのものだった。ただ、当初、日本側に有利とされていた日程は、相手の厚い選手層がそのハンデを消していた。そして必ずしも欧州の選手にとって不利ではない気候条件。もちろんW杯期間中だからブリティッシュライオンズは編成されていない(笑)。そのなかで、ベストメンバーをぶつけてきた本気のスコットランド代表を日本代表が奇策を弄するのではなく真っ向勝負で屠った。こんな日がくるとは・・・

前半、負傷退場を余儀なくされた具の悔し涙に、このチームに関わるひとりひとりが犠牲にしてきたものの大きさを見る。そして、美しすぎる稲垣のトライとそのトライに子供のようにはしゃぐ中島にこのチームの結束を見る。

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 いままでこのスポーツに関心がなかった多くの人が、TVの前に釘付けになっているのは、いまの世の中にいちばん足りなくて、いちばん必要なものを、桜のジャージを着た選手たちがグラウンド上で体現しているからなのだろう。

今節、大型台風が日本を襲い多くの犠牲者が出た。台風の影響で最終戦が中止になり、戦う機会を失ったままグループリーグ最下位が決まったカナダ代表は、台風の爪痕が残る釜石に残り、泥掃除などのボランティア活動に参加した。トンプソンは、被災した人たちのことを考えると「ラグビーは小さいこと」だと言う。でも、大きな力を持っている人は、概してその力を正しく使わない。小さな力だからこそ出来ることがある。日本代表のビクトリーロードには、まだまだ先がある。

準々決勝の対戦相手の南アフリカはW杯での対戦成績では勝率10割(笑)。アイルランドスコットランドとの試合前、ずいぶんと弱気な予想をして面目まるつぶれの伝道師としては強気の予想をしたくなる。そして、このゲームが行われる10/20は平尾誠二さんの命日。この夜、東京スタジアムで「おお、このゲーム、なかなかおもろいやないか」と平尾さんが唸りそうな試合が展開されますように。

 

 

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皮算用

4年前のことがある。大畑クンのように「次、勝ちゃあいいんだよ」と言い放つ度胸はない。スコットランドが9日のロシア戦で引き分け以下か、アイルランドが12日のサモア戦で負け、もしくは3トライ以下の引き分けに終われば、その時点で日本の決勝トーナメント進出が決まる、という情報に現実味はあまりない。

以下、9日のスコットランド×ロシアでスコットランドが4トライ以上で勝ち点5を積み上げた前提で話をすすめる。日本がスコットランド戦に敗れた場合、スコットランドの勝ち点は14か15。スコットランドに4トライ以上を奪われ、スコットランドが15となると、日本は4トライ以上かつ7点差以内の敗戦でボーナス点2を獲得する必要がある。スコットランドが3トライ以下なら、日本はボーナス点1を確保すれば勝ち点で上回る。なんだか、整理したつもりがよくわからないな。なお、以下に順位決定方法を記す。う~ん、ややこしい。やっぱり、勝ちゃあいいのか(笑)

各組上位2チームが決勝トーナメントに進出。勝ち=4点、引き分け=2点、負け=0点の勝ち点制。4トライ以上、7点差以内の敗戦はそれぞれボーナスポイント1点が加算。勝ち点が並んだ場合は①直接対決②得失点差③トライ数差④得点数⑤トライ数で決着。ここまで並んだ場合、19年10月14日時点の世界ランキング上位チームが上位。

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