NZの思い出(2)
10数年前、クラブチームの遠征で行ったNZクライストチャーチにて。
試合会場に向かうバス。
運転手はシートベルトがキツそうな運動とは縁のなさそうな中年太りのオッサン。
身長は170cmあるかないかだが、体重はゆうに100kgを超えていそうな彼が、
「私も若いころはラグビーをやっていたんだよ」と笑う。
「ポジションはどこですか」
プロップかフッカーという答えを予想していた全員が
「スクラムハーフさ」
という答えにひっくり返りそうになる。
王国は懐が深い。
クライストチャーチの街は、あちこちにキレイな芝生のグラウンドが点在している。
それは、ここは運動をする施設だ、と自己主張するわけでもなく、街の風景に自然に溶け込んでいる。
そんな緑の絨毯の上で、ボール遊びに興じる数人の小さな子どもたち。
大人サイズの楕円球が、その絵を微笑ましいものにしている。
とくにルールに則ってるわけではないのだけれど、先頭にいた子が笑いながら放りあげたボールに、後ろからきた子がトップスピードで走りこむ。
無意識にボールと戯れているだけなのに、ウチのチームのBKに見習わせたいような、一連の流れ。
「うわっ、勝てないわ、この国には」
と思ってしまった瞬間。
そして、その日の試合では我がチームのトップチームは小さな街のクラブチームの19歳以下のチームに敗れ、over30チームは、over40に敗れてしまうのだが。
スタンド付きのメイングラウンド。
数面あるサブグラウンド(もちろん美しい芝生)。
100人以上入れそうな食堂のあるクラブハウス。
やっぱり、勝てないわ。
・・・