加賀温泉郷マラソン2019

開会式でゲストの増田明美さんが、それほど重要ではなさそうな情報を楽しそうに話す。「この大会ね、今回から陸連公認になったの。大迫くんの記録が2時間5分50秒でしょ。だから、みなさんが2時間5分49秒でゴールすれば1億よ、1億!」 仰っていることは100%正しい。でもね、増田さん、そうは言うけど、ここはシカゴに較べてアップダウンが多すぎるよ・・・。(そういう問題か?)

事前にこの大会の出場経験のある人に聞くと「これでもかっていうくらい坂がある」「あそこはベストを狙うコースじゃない」「エイドが充実しているから、記録は狙わずにおもてなしを楽しむべき」「ここをマラソンのコースにする?って言いたくなるくらいのすごい坂がある」等々、ネガティブな情報がこれでもか、と出てくる。とはいえ、陸連公認なのだから、距離は42.195km。この日のために月間走行距離を100km以上伸ばし、坂道もたっぷり走り込んできた。レースプランはシンプルに「4分55秒/km(3時間30分切りのペース)で行けるところまで行く」

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スタート後、運動公園の外に出ても道幅が意外に狭い。入りの1kmはキロ6分オーバー。プランがいきなりつまずく。ただ、人の間をぬって前に出るのは消耗するので、最初の1~2kmはウォーミングアップと割り切りガマン。タイムの借金は、足の貯金。しかし4km地点を過ぎても混雑は解消せず。このままでは負債がたまる一方なので、堪忍袋の緒を静かに切って人の隙間をぬうようにペースを上げる。5km手前でようやく混雑を抜ける。犯人は4時間のペースメーカーだった。ペースメーカーのすぐ後ろは混み合うんだよな。5kmの通過は27分30秒。おお、ペースメーカー、いい仕事しているな、って感心している場合じゃない。序盤ですでに2分半を越える負債。この程度の借金はすぐにでも利子をつけて返してやりたいところだが、後半に上り区間が控えているので楽観はできない。その後も小刻みなアップダウンの連続に、いまひとつリズムに乗れず、5~10kmのラップは25分36秒(汗)。10~15kmでようやく24分台になるが、挽回は微々たるもの。徐々にゴール予想の計算作業が楽しくなくなってくる。中間点通過は1時間49分。なかなか計画通りにはいかないものだな。3時間30分を切るには後半のハーフを前半より8分速い1時間41分で走らないといけない計算。前半、抑えに抑えていたわけでもなく、わりとあたふたしながら、それなりに消耗しているので、アップダウンの多い後半にそんなパフォーマンスを発揮できる気がしない。夢見る時間は終了(泣)。描いていたストーリーと現実が乖離してしまったことに少し落ち込むが、石川まできて残りの距離をジョギングして帰るのも勿体ないし、せっかくの攻略し甲斐のあるコース設定なので、リセットして後半を楽しむことにする。

練習量を増やしたせいか30kmを過ぎてもつぶれ感はないし、集中も切れていないのだが、全体をとおして、アップダウンのある区間でのタイムを作れていない。このあたりが課題ですな。スピードがないのか、スタミナがないのか、インテリジェンスがないのか、その全てなのかはよくわからない。さすがに残り5kmはけっこうキツくなる。40kmを過ぎてからの競技場までの長く緩やかな上りはホントにいい練習になった。「走るの好きか」と聞かれたら、ネガティブな答えをしてしまいそうだったけど(笑) 石川まで応援に来てくれたチームメイトの声援を受け、競技場内では地味なスパートをかけ、数名をパス。自己ベストを1分(!?)更新。とりあえず前回の記録は超えましたよ、最低限の仕事はしましたからね、的な。なんか、サラリーマンっぽいなぁ(苦笑)

 

この日、長野と石川に分かれてフルマラソンに参加していた「TeamSF」のメンバーは、全員が自己ベスト更新。南砺100kmマラニック(リレーの部)に向け、いいはずみがついた。レース後、スマホの画面に表示される「PBおめでとう」とか「アップダウンの多い加賀でのベスト更新は価値がある」とかいう耳障りのよい言葉に、少し浮ついた気持ちになっていた。帰路、「坂が、坂が、って言うほどじゃなかったよね」「昨日エントリーした富山マラソンの申告タイム、もっと速くしておくんだった」「いやぁ、いい練習になった」「楽しいレースだった」等々、数時間前、半べそをかいていたとは思えないポジティブな言葉がどんどん湧いてくる。でも、レースのラップタイムをチェックしていたある人からの「前半はいいペースだったのに残念でしたね」というコメントに目が覚める。そう、本当は、走った本人がいちばん「残念」だと感じているのだ。周囲の優しい人たちが、いくらステキな言葉をかけてくれたとしても、「やりたい事が出来なかった」という事実に変わりはない。恋もマラソンも自分の気持ちを偽っていては次に進めない・・・・。

 

夢見た島は遥か遠い場所で♪まだ霞んでいてよく見えないけど、ほんの少しだけ近づいた。さあ、練習だ。明日もいいトレーニングが出来ますように。