全国高校ラグビー神奈川県予選1回戦

花園に向けた県予選が開幕。
母校は今年も合同チーム(2校)での参戦。
1回戦の対戦相手は、昨年まで合同を組んでいたチーム。
昨年まで同じグラウンドで共に練習していた3校が、
初戦で相まみえるという運命の悪戯。

そして、もうひとつ昨年までと違うのは、
合同チームが母校のジャージを着ている事。
公式戦でこのジャージを見るのは、数年ぶり。
単色で襟つき。胸に縦に明朝体で校名。
最近のラグビージャージは、サッカーやバレーボールのユニと
区別がつかないようなデザインが多いが、やっぱりこうでなくっちゃ。
ジャージをパンツの中に入れ、ストッキングをきちんと上げた着こなし。
トップリーガーたちは、高校生を見習うべきだな。
アップが終わって現役がジャージに着替えただけで、
今日は来た甲斐があった、と変な満足感。
しかし、背番号を見ないとポジションがわからないくらい
スリムなメンバーを揃える伝統だけは、いまだ健在だな(苦笑)

開始早々、相手の大型FWにタックルにいった三列が負傷交代。
その後、ペナルティからのタッチキックで自陣5mでのラインアウト
クリーンキャッチからモールを押し込まれ、0-7。
重苦しい空気のなか、直後のキックオフから敵陣でフェイズを重ね、
グラウンドの横幅を一杯に使い、WTBが右隅にトライ。5-7。
前半はもう1トライを追加され、5-12。
スクラムラインアウトが安定せず、ポゼッションは圧倒的に相手だが、
よく走り、よく戻って刺さりまくっているため、
ゲームが壊れる感じはまったくない。
事実、たったの7点差なのだ。

ラインアウトでもないのに両方のチームがタッチライン際に。
あっ、ハーフタイム。
時間の経過なんて意識していなかった。
久しぶりの母校のジャージに、試合に入り過ぎか(苦笑)

後半も2トライを奪われ、一時は21点差に。
それでもキックオフの一進一退から大きくゲインし、
中央にトライ。12-26。
「絶対、勝てる」は、カラ元気ではなさそう。

その後、点数の入らない時間帯が続くが、
終了5分前に自陣22mゴール正面でペナルティ。
相手はショットを選択。
そう、これはトーナメント。
14点では足りないという判断は、正しい。
12-29。

残り5分で17点差という状況のなかでのアタック。
接点での壮絶な争奪に勝って外へ展開。
簡単ではない角度のゴールが決まり19-29。
片方のチームに異常に肩入れしているから、
冷静に分析なんてできないんだけど、
どうみてもこちらのほうがいいラグビーをしている。

直後のキックオフも相手が確保するが、
何度も足首に刺さり続けターンオーバー。
スペースにうまくボールを運びトライ。
ああ、なんていいラグビーをするチームなんだ。
ゴールは外れ、24-29。

後半の3トライは、きっと、ここまでの周到な準備が実ったアタックだったのだろう。
そして、このチームは、今日のこのゲームでものすごく成長したと思う。
でも、残念なことにこのメンバーでのゲームは今日が最後なのだ。

ゲーム終了後、応援の人たちへの挨拶で、
キャプテンが最後まで長い時間、頭をあげられずにいた。
このゲームへの思い、このチームへの思いがそうさせたのかな。
でも、こんな素晴らしいゲームが出来るチームのリーダーなのだから、
彼にこそ胸を張ってほしいのだ。

最後のミーティングでキャプテンの挨拶の後、
訓示を求められたコーチは「まず、クールダウンしよう」と言った。
そう、3年生はこのゲームが最後だけど、
このチームは、今日で終わりではなく、ずっと続いて行くのだ。
そして、何年、何十年後も、ぼくらが着ていたのと同じ
無地の濃紺の襟つきのジャージで
今日のような果敢なゲームをしてくれるのだろう。

来年の正月、高校ラグビーの一年を振り返った時、
花園の決勝より今日のゲームのほうが感動したと言える自信がある(笑)
後輩たち、カッコよかったぞ。
そして、ありがとう。