空はつながっている(2)

ここのところ残業続きで帰宅時間が24時近くなることもある。
それでも走る。
自分の時間を割いて、自分の意志で。
冬の日、155km自転車を漕いだ後、42kmを走りきるためには、
どれだけ走りこめば良いのだろうと不安を抱えながら走った
川沿いのランニングコース。

ここまでして鍛えるのは、
昨日の自分を越えるため、
周囲に安心感を与えられるような人になるため、
チームやサークルの仲間たちと喜びを分かち合うため、
そして、体型を維持して女の子にモテるためだ。

自分の乗っている船が、間違った方向に舵をきったと感じた今日、
どこにもぶつけようのない感情を持て余し、
いつもより長い距離を、いつもより速いスピードで走る。
健全な若者が、得体の知れない恐怖に怯えながら、
誰かの命令で見知らぬ誰かを傷つけるために
鍛える日が来ないことを切に祈りながら。

朝刊の一面で満足そうな表情を浮かべる
損得を嗅ぎわけることに長けた船長が、
どんなに耳触りの良い言葉を並べようとも、
正しい戦争はない。
そして、空はつながっている。