第50回大学選手権決勝

前回の記事で帝京有利は動かし難いと書いて、その印象はやっぱり変わらないのだけれど、要所要所に何かやってくれそうなメンバーを揃えた早稲田に何かを期待してしまい(そんな言い訳しなくてもいいのだけど)、最後、最後と言っていた国立競技場にまた来てしまう。

観客 27,224人。
バックスタンド千駄ヶ谷寄りは、赤く染められている。
帝京、愛されるチームになったなぁ。

ちなみに試合中、早稲田の応援席から入学時の偏差値の高さを微塵も感じさせない替え歌の応援歌が聞こえてきていたが、そのなかのひとつ「赤く染めあげろ〜」は、今日はマズいだろ

開始早々、元CTBのフランカーが抜けだし、フォローしていたチーム一の快足につなぐ。
ノーホイッスルトライにスタジアム全体が興奮状態。と思ったけど、帝京の選手たちはたぶん冷静だったね。

先取点はとったもののブレイクダウンで完全に後手を踏み、強みと認識していたスクラムが安定しない早稲田。
スクラムについては、帝京が研究してきたこともあるだろうけど、レフェリーとのコミュニケーションが両チームともとれていないように感じた。
この日の笛は、国内ではトップクラスの評価を受けている人だったけど、ここまで大学生のゲームをあまり吹いていないはず。
解決策は持ち合わせていないけど、大事な試合で選手にいらぬストレスがかかるのは切ないな。
まぁ、これから本気で世界を目指すなら、レフリングにフィットする能力も大事だけど。

前半は、早稲田のDFがよく頑張り、帝京のらしからぬハンドリングエラーもあって帝京2点リードで終了。
早稲田は、太陽を背にした風上をうまく使えなかった。
もしかしたら自然状況に頼るつもりなんて、最初からさらさらなかったのかもしれないけど。

後半開始早々、帝京がやられたらやりかえすノーホイッスルトライ。
その後も小刻みにスコアして、15分には24点差になる。

ゲームが壊れる予感を感じとった早稲田ファンのおっさんが
「デカイだけの帝京にやられてくやしくないか、プライドはねぇのか」
と絶叫する。(早稲田のファンって負けそうになると人格が変わる人多いような・・・)
いやいや、おっさんは二つ間違えている。
帝京は、カラダを大きくすることのその先をちゃんとやっているから4年も続けて勝っているんだよ。
そして、DFは少し綻びてはいるけど、狂ったように展開しまくる早稲田は、今年の早稲田だ。

ふと思う。
そんなデータはとれるわけないから絶対わからないんだけど、
試合中、帝京の選手の心拍数は早稲田のそれよりかなり低いんじゃないか。
「余裕」のひと言でかたずけられない、精度の違い・・・

勝負がついた、と思ったこのあたりから帝京に無用の反則が目立つ。
本来、これだけ点差が離れたら反則なんてする必然なんてないはずなのだが。
トップリーグに本気で勝とうとしてる?
攻め手のない早稲田を応援する人たちのイライラは、反則の繰り返しにカードを切らないレフェリーに向く。
まぁこの時点で、15対15じゃやってられないよ、という気持ちはわからなくもないけど・・・
たしかにアドバンテージ後にディシプリンのかけらも感じられない反則がずいぶんあった。

ただ、ここから早稲田がインジュリータイムなんじゃないかと思わせる思い切ったアタックで反撃開始。
何かやってくれそうランキング1位の藤田くんが、このプレーを見るためだけにお金払ってもいいよ、と思えるような技をタッチ際で披露するなど、3連続トライを畳掛け5点差に。

5点差と言う事実が、冷静に考えてもうここまでだろうと思う気持ちを簡単に寄り切る。
高まる期待のなかでのキックオフからの攻防で、ああ痛恨の・・・


帝京 41-34 早稲田

最終スコアより実力的には開きがあったゲームだったかもしれない。
ラグビーのプレーにおいて帝京が早稲田から学ぶことはそう多くないはずだが、この日の早稲田の闘いぶりから学んだものは多いはず。
勝ち負けを超え「チーム」のことを真剣に考えたことが一度でもある人には伝わるものがあったゲームだと思う。
両チームの部員・関係者が、1年間かけて積み上げてきたものに拍手。