Negative: Nothing

Negative:Nothing 全てはその一歩から」を観る。

2011年3月11日の東日本大震災福島第一原子力発電所の事故の後、北海道から鹿児島まで徒歩で縦断したスイス人男性の旅を記録したドキュメンタリー。
スイスの旅行会社で日本担当として働いていたスイス人が、震災後に失職するも日本に恩義を感じ、東北でがれき撤去のボランティアに参加し、さらには北から南まで日本縦断を敢行する。
日本は安全だとアピールしたスイス人の勇気ある行動と、彼と交流した全国の人々の姿に感動を覚える。

2011年の悲しい出来事からストーリーは始まる。
たった1人の小さな行動が大きな輪になってゆく。
余計な演出を省いて淡々と進むこの映画のテーマは
「旅」ではなく、「人」であり、
もっと言えば「勇気」や「希望」だ。

主人公トーマスが外国人だったからこそ見えたものがある
ということを言っている人がいる。
それはある面からは正解なのかもしれないけど、国籍の前に、
彼がこの国を「好き」で、この旅を「楽しい」と思っている
ことは、押さえておくべきだろう。
ゴールを前にした彼が「いやなことはひとつもなかった」と
言う場面がある。
寝る場所が見つからなかったり、足が動かなくなってしまう
ことも含めて、楽しかったと言い切れる彼の人としての強さ。

九州の温泉での福島出身の青年との触れあい、
福島でのタクシー運転手との会話、
福島県庁で多くの人の書いたメッセージを
トーマスが見つめる場面は心の奥を揺さぶられる。

忘れないでいること、過去を振り返ることは大切だ。
でも、それ以上に、
前を向いてポジティブに生きることも大切だ。

成し遂げるべきことは、強い意志を持ってやり遂げよう。
守るべき大切な人との時間を大事にしよう。
そんな当たり前のことを思い出させてくれる。

多くの「ニッポン人」に見てほしい映画。