全力疾走

戸塚啓「僕らはつよくなりたい 東北高校野球部震災の中のセンバツ幻冬舎を読む。

3.11から夏の予選までが、部員のインタビューを中心に丁寧に描かれている。
あの時、それぞれの立場で多くのものを背負いベストを尽くした若者たち。
この大変な時に野球なんて、という意見もあったという。
たぶん、正解なんてないし、実際、どうしたらいいのかわからなかっただろう。
それでも、誰かのために立ち向かう。自分たちに出来ることをやる。
人として立派すぎる。

当時、東北高校の対戦相手はやりにくいだろうな、
なんて素人っぽく思っていたのですが、
1回戦の相手、大垣日大がこの試合に全力で向かう様は
スポーツに携わる者としてパーフェクトだと思う。
対戦相手への尊敬、思いやり、友情。
ゲームの感動は、点差とは関係ないところにある。

そのゲームで大垣日大に5点をリードされた東北。
2ランホームランのジャッジが取り消され二塁打になる場面がある。
5-2が5-0に。
打った選手はベンチで仲間から祝福された直後。
面白い出来事ではなかっただろう。
それでも、その選手はベンチを飛び出し、
二塁ベースに「全力疾走」で向かう。
審判団の審議のため中断していた場面。
試合の流れにはまったく影響しない行為。
それでも東北高校の野球部員として、
やるべきこと、約束したことを果たす。
それほど重要性がある場面ではないけど、
なんだか激しく心を動かされたな。

・・・


全力で走ってるか。

自分自身に問いかける・・・