西野監督

昨今、この国のスポーツジャーナリズムでも、プロは結果で評価されるべきという論調が幅を効かせている。
それにしては、この人に対する評価は不当に低い気がする。

アトランタ五輪で、ブラジルから金星を挙げたときの立役者は、前園であり、中田であり、川口だった。
金子達仁の「28年目のハーフタイム」でも、この人は経験がないため国際舞台でチームをまとめることが出来なかった、と総括されている。

強豪ではなかったガンバを、優勝争いの常連にしたのは、この人の功績だということに異論はないだろう。
今シーズン限りでチームを離れる西野監督が、ホーム最終戦の試合後の挨拶で、自らの10年ではなく、チームへのこの1年の応援に対する感謝を述べたことに「プロ」を見る。ホーム最終戦の試合前「監督のために頑張ろう」などと陳腐なセリフを吐かなかったキャプテン明神にも。

「場内一周の際、みなさん(サポーター)が温かい言葉をかけてくださいましたが、(ホーム最終戦を)僕の個人的なあいさつには絶対にしちゃいけないと思った。(チームや選手が変わることは)僕だけじゃない。自分だけが去るようにするのはおかしいから」

1年間応援してくれたサポーターへの感謝の言葉に自身のセンチメンタリズムは関係ない。
「勝負はまだ続いているということです。」
感傷的になっているヒマはない、ということだろう。
チームを愛するプロのプライド。

もう一つのメジャースポーツの盟主と言われているチームのフロントは、少し見習うべきでは・・・

「ミラクルは起きる」
他力本願の側面はあるにせよ、プロとして残り少ない与えられた時間に何をすべきかをわかっていらっしゃる。

W杯のときだけ「フットボール命」みたいに大騒ぎをするこの国の人々のうち、国内リーグの最終節がこんなにシビレル展開になっていることに気づいてる人は一体どれくらいいるんだろう。