第27回扇状地マラソンinにゅうぜん

例年、富山マラソンの後は白い灰になってしまい、11月はレースにエントリーをしていなかったのだが、今年はスピード系のトレーニングをかなりやったので、フルマラソンから間を置かずにレースに出たら10kmのベストが出るのではという欲が出て、「第27回扇状地ラソンinにゅうぜん(11/17)」の10kmの部に参戦。ただ、夏の終わりころのエントリーした時点では闘志がみなぎっていたのだが、今年も例年通り白い灰になってしまい、脚も胃袋も甘やかしたまま、直前の対策はほとんどせずにレースに臨む羽目になる。とはいえ、県内では年内最後のレース。この夏の取り組みが正しかったことを証明せねば。

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スタートは入善陸上競技場。過去の経験から、ハーフマラソン以下の距離のレースで、トラックからスタートすると舞い上がってしまいオーバーペースになりがちだということはわかっている。今回は雰囲気にのまれることなくペースを維持。落ち着いたレース運びができているというより、単に前が詰まっていただけだったのか。最初の1kmは4:25。ペースは4:20の設定なので、スタート時の混雑を考えれば想定内。ただ、心肺の苦しさは想定外。やはりこの3週間サボり過ぎたか。いやいや、ウオーミングアップからスタートまで時間が開いたので、一時的に心肺が悲鳴を上げているだけで、この苦しさは時間が解消してくれるのだと信じこむ。2km通過は8:50。ペースは上がらず、心肺の苦しさはむしろ増している。サボり過ぎ疑惑再浮上。給水所が見えてくる。涼しいし、たかだか10kmだし、パスかなとも思ったが、富山マラソンの脱水の悪夢がよみがえり、とりあえずスポーツドリンクを補給。おお、なかなか冷静だなと思ったのも束の間、気管に流し込んでしまう。レース序盤でむせかえるひ弱な都会っ子、画にならないな(苦笑) そして次の給水所では「手前が水、奥がスポーツドリンク」の表示があり、ボランティアの学生が手渡ししてくれるスタイル。こういう場合、みんな焦って早めにもらおうとするから、いちばん手前の子にすごく負荷がかかるんだよな、と気を利かせたつもりで、後ろのほうの子からスポーツドリンクをもらったはずが、手のしているのはなぜかスポンジ(!?) いや、こんな涼しい日にスポンジとかいらないし。どうも今日は俺の日じゃない気がしてきたぞ。

中間点はあわよくば21分台で通過できればと思っていたが、22:20前後。なんだか、いろんなことが怪しくなってきた。そして、折り返し以降、意外に強い向い風が。気が付かなかったけど追い風だったと思われる前半にほとんど貯金が出来ていないというランニングあるある。今回の企画書は見積もりが甘すぎた。残り3km地点、応援に来ていた愛弟子Mさんの姿が。「コーチのベスト更新をゴールで見届けます」と言っていたが、いまここにいて間に合うのか。というより、そんな心配をしているお前自身が、その愛弟子のコメントを成立させるべく間に合うのか? 残り2km地点、酸欠の頭で計算するといまのペースではベスト更新は風前の灯火。ただ、たかだかあと9分弱。途中で倒れない程度に無理をすることにする。2,000mにわたるロングスパート。残り1km地点、必死の形相でもがいているところを応援に来ていたT姉さんに激写されてしまう。ケニア人Fさんに「苦しいときほど笑顔で走るといい」とアドバイスしていたのは、実は嘘だったと訂正しなければいけないな。公園の北側をぐるりと周回し陸上競技場へ。「残り200m。ファイトです!」と声がかかるが、それが本当は220mであることを私は知っている。ふふ、少年、おぢさんは騙されないゾ。福岡堅樹も松島幸太郎も舞い降りてきた気配はないが、とりあえず見えているランナーは全員抜きさることにする。残り100m地点までに2~3人(よく覚えていない)をパス。第4コーナーに愛弟子Mさん。おお、間に合った(口の中が血の味になるくらい急いだらしい)か。でも、声援に笑顔で応える余裕は0.1mmもない。見えていたうちの最後のひとりは捕えきれなかったが、倒れこむようにゴール。時計をとめる余裕も、振り返ってコースに一礼する余裕もない。想像していた展開とはずいぶん違うが、とりあえず自己ベストを14秒ほど更新。途中、少し冷や冷やしたが、ギリギリのところで帳尻は合わせる。まるで、日頃の仕事ぶりのようだ(苦笑)

 

今年の県内でのロードのレースは、これで終了。年内は、トレイル1レースを残すのみ。締めくくりの31kmのトレイルで有終の美を飾るべく、明日もいいトレーニングが出来ますように。そして、トレーニング中に熊に遭遇しませんように。

脚作りのための30km走

 富山マラソンで白い灰になってから、はや二週間。雑誌「ランナーズ」3月号に、フルマラソンを走ってから3週間以内に30km走をすると、脚作りに絶大なる効果がある、との記事があったので、春先の加賀温泉郷のときに続き二度目の「脚作り30km走」を決行。県総合運動公園は絶好の30km走日和。「来週、レースの人もいるし、長い距離をふむことが目的だからペースはキロ6分くらいでやわやわとね」 当初、若干寒いかと思ったが、湿度の低い晴天のなか、ウインドブレーカーは1周で脱ぎ捨てロングTで気持ちよく走る。

途中、毒キノコ連合のM野さん、Y岸さんと遭遇。Y岸さんは、先日の富山マラソンで1万5千人近くの参加者がいるなか1秒違いの順位がひとつ違いというなんだかわからない糸で結ばれた仲。この日は30km走る予定というので理由を聞いてみると「ランナーズの3月号に・・・」 同じようなタイムで走る人は考えることも一緒ということか(笑)

この日は30km走ということで全員が気合を入れて補給の準備をしてきたため、持ち寄ったものを全部摂取したら明らかにカロリーオーバーになりそう。もぐもぐタイムは、京都帰りのMさん持参の阿闍梨餅と生八つ橋で、気分はすっかり京都マラソン。この2つのアイテムは、口の中をぱさぱさにすることなくランニング中の補給食にはおススメ。

レースペースより遅いものの、さすがに終盤は足が重くなり、みな無口に。「やっぱりフルの2週間後だと、キロ6分でもキツいな」「いえ、わりと早い段階からキロ5分40秒くらいでした・・・」ずっとサブ4ペースで走っていたのか。だめコーチのペース感覚がいい加減すぎるな。最初から「30kmは走りません宣言」をしていた人以外は無事ミッション完了。この練習がレベルアップにつながってくれるとよいのだが。個人的にちょっと心配なのは、脚作りはいいのだが、この重た~い感じが来週のレース(扇状地マラソンinにゅうぜん)までに復活してくれるかどうか・・・

 

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 練習後は、糖質補給用のおにぎりを持って、チャリティー活動「#onigiriaction 」用の写真をインスタグラムにUP。 これは、#onigiriactionハッシュタグをつけて、おにぎりの写真をSNSに投稿するだけで、アフリカ・アジアの子供たちに給食を寄付することが出来るイベント。1投稿につき給食5食を寄付してくれる。実物のおにぎりだけでなく、手で三角マークをつくった#エアおにぎり でもOK! 期間は11/20まで。

 https://onigiri-action.com/

富山マラソン2019

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「もう少し落ち着いたほうがいいかもしれない」序盤、高岡市街の折り返しで確認すると3時間30分のペースメーカーのかなり前を走っていた。5~10km、10~15kmのラップは23分台。かなり力を抜いて楽に走れているし、飛ばしているという意識はまったくないのだが、どうもこの大会は思い入れが強すぎて、前のめりになってしまう。いつもはエイドの固形物に手を出すことはほとんどないのだが、リラックスするために新湊のエイドで評判の「鱒寿司」を手に取ってみる。20km近くを走ってきて食べる酢飯は最強。もともと元気だったが、さらにパワーアップして、中盤の難所、新湊大橋の長~い上りをさくっとやっつける。難所とはいえたかだか高さ50m。立山の60分の1だ。中間点は1:42:48で通過。この時点では、かなり余裕。もうサブ3.5は達成したも同然と思い込み、勝手にライバルに設定しているips細胞の山中教授(大学時代ラグビー部だったことと眼鏡をかけていることくらいしか共通点はないのだが)のベストタイム3:24:42を視野に入れる。

 

3時間30分切りを狙ってこの大会に挑むのは3回目。最初の年はあきらかに力不足で玉砕。2年目は直前に故障。過去2回の反省を踏まえ、今年は雪解けの時期から峠走を取り入れ、夏前からは立山登山マラニック対策のロング走と並行して、いままであまりやってこなかったスピード系のメニューに拘ってきた。次のセットのスタート地点が近づくのが憂鬱になるような、シューズがくちゃくちゃと音を立てるくらいの滝汗をかくような、口のなかが血の味になるような。月間走行距離を伸ばそうという意識はなかったが、やろうと思うことをこなしているうちにその合計はコンスタントに250kmを超えるようになった。そして「ワールドビジネスサテライト」を見ながら、夜な夜な転がし続けた腹筋ローラー。あれはいい買い物だったな。

 

25~30㎞の七美からの折り返しも快調に飛ばす。チーム向こう側のグッチーさんの応援に余裕の笑顔で手を振り、サブ4を目指すと言っていたY岸さんが3時間30分のペースメーカーに食らいついているのを見て「計算間違えていないか」と少し心配になりつつ、その頑張りに元気をもらう。こちらは気づかなかったのだが、ここですれ違ったY田君が「問題なさそうに見えた」と後に言っていたが、たしかにこの時点では何の問題もなかった。「山中教授の記録はちょっと厳しいかな」と思っていたくらいで。30kmあたりで、明らかに失速している先行していたI君を追い越しながら、澤穂希さんの名言「苦しい時は私の背中を見て」に近い気持ちで声をかける「諦めるな。ここから粘れば、まだサブ3.5行けるぞ」(出来ることなら取り消したいセリフその①) レースの3/4を過ぎ、さすがに足は重たくなっているが残り10kmで何かが起きる気配はない。この辺りから、「立山マラニックをすっきり卒業できない友達」のK子さんと並走。徐々にキツさを感じ始めていたタイミングだったので、ここで励ましあいながら走れたのはものすごく力をもらえた。35kmを無事通過。ペースは少し落ちているが、「サブ3.5貯金」の残高は充分。堀井鉄工の近くで高そうなカメラを構える山ガールN子さんに笑顔で「サブ3.5いけます」と宣言。(出来ることなら取り消したいセリフその②)

ところが37kmあたりで、手に痺れ。瞬く間に範囲が広がる。真夏のトライアスロンのレースでゴール後によく陥るあの症状。まさか脱水なのか。こんなに涼しくて雨まで降っているのに。給水だってほとんどのエイドで摂ってきたのに。あと、たった5kmなのに。気合でピッチを保とうとするが、たぶん歩幅が半分くらいになっている。ようやくたどり着いたエイドでスポーツドリンクを3杯飲むが症状に改善なし。その脇を追い抜いてゆく3時間30分のペースランナー。ここでレースは終わった。エイドの陰でヒゲダンが「自分の弱さに、遠ざかっていく未来♪」と歌っているような気がした。残高が怪しくなった貯金はキロ6分半近くまで落ちたペースにすぐに底をつく。事前に終盤の勝負所とよんでいた北代からの上りはふらふら過ぎて、上っていることに気づかなかった(苦笑) 北大橋を越え、41km地点で時計が3時間半を超える。ああ、アテネからマラトンまでの距離が41kmだったら良かったのに。

残り1kmをきりビクトリーロードになるはずだったホームコース環水公園の脇を俯きがちに走る。リーチ、この道を行っても笑える日はこなかったよ。ネットタイム3:36:45でゴール。最後はぐだぐだだったけど、自己ベストを11分更新したのか。この大会は毎回ベストを更新しているのに笑顔でゴールしたことがないな。ゲートをくぐった後、完走した人たちの笑顔がはじけるエリアで、歩を進める気力も体力もなく、冷たい雨の中、ひとり空を見上げる。特別な思いを持って臨んだレースの最後に、サングラスの別の役割を見つけてしまう。そして走り終えた後は、一緒に練習してきたチームメイトたちのゴールを見届けるつもりでいたが、立っていることもままならず、ケニア人Fさん(見た目と国籍は日本人)の涙のサブ4達成の瞬間を見逃す羽目に。体育館の地下でずぶ濡れのまましばらくうずくまり、無理やりバナナと経口補水液を飲み下し、ようやく少しだけ復活。OS-1を開発した人は、本当に偉大だ。みんなを安心させようとグループラインに「命に別状はないから大丈夫」と書き込み、逆に心配させてしまう。こんな日は、なにをやってもちぐはぐだな(苦笑)

 

何が起きたのかは、いまでもはっきりわからない。長い時間をかけて準備をして、最後の最後で取り返しのつかないエラーをしてしまった喪失感と中途半端な達成感が残る。そういえば2か月前にもずいぶんと酸素の薄い場所でこんな気持ちになったな。片思いの彼女は気を持たせるような素振りはするくせに、いつも最後は微笑まない・・・。

 

それでも・・・

目標を決めてそれに挑もうとすると跳ね返されることが圧倒的に多くて、楽しいことより辛いことのほうが多いかもしれないこの面倒くさくて厄介な趣味がやっぱり好きだ。神様は乗り越えられない試練は与えないとか、努力は必ず報われるなんていうのは、たぶん嘘だけど、小さなことの積み重ねが、特別な1日の笑顔に繋がるのだということは信じている。アスリートは難儀だ。明日もいいトレーニングが出来ますように。